『噛むと奥歯が痛い』
『歯ぐきが腫れている』
お口の中の所見としては、奥歯2本はセラミックのかぶせ物で
繋がれている。
通常このように連結されている場合、前の治療時に強度的な
不安があった可能性が高い。
成る程、レントゲンでは根の先は膿んでいないが、
根の股の部分がやや黒く写っている。
黒く写っている場合、骨が溶けてきていることが多い。
つまり、部分的な歯周病である。
この部分の歯では、通常根は3本ある。
しかしレントゲンでは2本しか写っていない。
ここで推察されるのは、
『恐らく前の治療時に、
どうしても残せない根だけを１本分割して抜き、
3分の２になった歯では強度的に不安がある為、
後ろの歯と繋いで被せた。』
という治療の流れである。
歯と歯ぐきの縁（ポケット）を調べてみる。
やはり、ここにはズボッと入る深いポケットができている。
健全な歯ぐきでは、ポケットの深さは２〜３mm。
この場合は１０mm程度は入る。
丁寧にセラミッククラウンを外していくと、
金属のコア（土台）が現れた。
やはり、根を1本抜いている為、隣の歯と比べて大きさが
3分の２しかない。
ここから、コア（土台）を外していく。
コアの除去は非常に難しい為、かなり時間をかけて
慎重に行います。
コアが外れたので、マイクロスコープで観察してみましょう。
上が8倍、下が24倍の拡大像です。
やはり、破折していました。
その破折線に沿って細菌感染を起こし、骨が吸収し、
歯ぐきに腫れができていたのです。
しかし、このケースは、根を分割抜歯した上で連結し、
10年以上使ってきたものです。
十分にその歯の寿命を使い切ってあげたのではないか、
と思います。
痛かった原因、
腫れていた原因、
そうなった理由が分かっていれば、
次の治療に対して適切な対応を考える事ができますね！
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