『歯磨きは食後30分は避けた方が良いのか?』
よく聞かれるトピックです。
結論は
『虫歯・歯周病予防には、
タイミング関係無く磨きましょう』
『酸蝕症の治療・改善を目指す人は、
45分開けるとなお良いかも?知れません』
が正しいでしょう。
「食後30分の間は、
溶け出したミネラル分が歯に戻る時間である」
と言われます。
理論的にはそうかも知れません。
しかし、これはとても小さな化学レベルの話であり、
酸で歯が溶ける事とは
全くスケールの違う話です。
因みに、陽子半径は8.5X10のマイナス16乗mです。
(10の8乗が億、10の12乗が兆、10の16乗は京です。)
これは、何が言いたいかと言いますと、
虫歯の穴は人が分かるレベルですから
数ミリあるわけです。
その穴をイオンが埋めて治すといっても、
イオンの大きさは
虫歯の穴の100億分の1どころか
100兆分の1どころか…、
というぐらいのスケールの違いがある、
という事なんです!
国家予算が300兆ぐらいですから
『わし、段ボール箱いっぱい
1円玉持っとるけん、なんぼあるか
分からんけど、
ほれで国家予算組んどいてよ。』
と言うよりも、
もっと無理がある、
それぐらいのスケールの違いなんです。
なので、
この様な素晴らしい再石灰化が起こる事は、
スケール上あり得ないのです。
あくまで概念である、と理解せねば見誤ります。
⬇️
こちら、株式会社ライオンさんのHPにも
わかりやすく記載されております。
https://www.lion-dent-health.or.jp/topics/pdf/okuchi_vol38.pdf#search=%27ライオン+歯磨きのタイミング%27
そもそも、
食後30分は磨いてはいけない理論の大元には、
『酸蝕症』という、
単純に歯が極端に強い酸で溶かされる病気を
虫歯と混同しているところにあるのです。
まずは歯の基本構造と、
虫歯の広がり方を押さえておきましょう。
『歯の基本構造』
エナメル質の臨界Ph:5.5
象牙質の臨界Ph:6.0
(エナメル質より象牙質の方が溶けやすい)
虫歯とは、虫歯菌が作る酸によって歯が溶かされる事です。
虫歯はこの様に広がります。
この図から、圧倒的にエナメル質よりも
象牙質が溶けやすい事がわかりますね。
『酸蝕歯』
(表面のエナメル質が溶けて、中の象牙質が見えている)
酸蝕症は細菌が関与しない、単純に歯が溶けた状態。
溶けている状況・程度が全く違うのです。
酸蝕で表面のエナメル質が失われると、
柔らかい象牙質が虫歯になりやすい状態になります。
虫歯・歯周病予防には
プラーク除去が最も有効かつ
唯一の手段で有り、
そうであれば、
食後すぐでもタイミングを問わず
しっかり磨いて
プラークを取り除けば良いのである。
虫歯以外で、そんなに柔らかい歯を見た事がありません。
そして、
酸蝕症の人は
酸蝕に至った原因をしっかり考え、
生活習慣を改めるとともに、
食後すぐに口腔内を中和する為の嗽をすべきです。
実際に酸蝕症の多くは、
✔︎吐き癖のある人
✔︎職業上常に酸性物質に口腔内を晒す人
✔︎極端にスポーツドリンクやお酢を摂取する人
が殆どです。
不安のある方は、どうぞご相談ください。
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